言語聴覚士ママのBlog/子どもが育つ魔法のことば vol.03

「ことば」を育てるかかわり方

インスタグラム@hagukumi.labより

こんにちわ、言語聴覚士ママ、はぐくみです。

みなさん「ことば」をどうやって学んだか覚えていますか?知らないうちに話せるようになっていた方がほとんどだと思います。そのため、ことばの習得方法なんて、覚えていない&言語化できないかのが一般的です。

でも、いざ親になったらふと湧いてくる疑問…「子どもにどうやって言葉を教えたらいいの?」「言葉が遅い気がするけど、どうすればいいの?」などなど。そんな、ことばの習得に対する不安や疑問を言語聴覚士ならではの視点で、わかりやすく解説します。

この記事では、確かなエビデンスのもと、遊びながら子どもにことばを習得させていく方法を具体例と共にご紹介します。よかったら最後まで読んでくださいね♪

そもそも「ことば」って何?どうやって育むの?

はぐくみ

今回の記事は連載なので、この部分はvol.01、vol.02でも触れた内容です。

すでに読んだ方はこの段落は飛ばしてくださいね!

インスタグラム@hagukumi.labより

辞書によると「ことば」とは、“音声や文字などにより表され、特定の意味を伝達する手段となる表現およびその体系のこと”と記載があります。では、ことばさえ習得すればコミュニケーションが成立するのでしょうか?ーいいえ、違います。

言葉が記号として体系化されたものが「言語」となり、それを使用して人と人はやり取りを交わすことが出来ます。このやりとりがいわゆる「コミュニケーション」となります。コミュニケーションは、話しことばだけではなく、声のトーンや速度などの言語の周辺的側面や表情や視線などの非言語情報を組み合わせて行うことになります。

我が子には「コミュニケーションが成立することばを習得させたい!」そう思う親御さんも多いと思います。コミュニケーションが成立することばを習得するには、関わる大人の存在が不可欠です。シーンに合わせたことば、声のトーンや顔の表情、そして事象の内容から子どもはことばを学習します。つまり、大人と子どもが相互に反応し合う経験が、ことばの習得には必要なのです。

余談ですが、行政などで頻繁に「お子さんといっぱい関わってあげてください」と言われますよね。ママになってから勉強して言語聴覚士になった私は、はじめての子育てに行き詰り行政へ相談した経験があります。その際、とにかく関わりを増やすようにアドバイスされましたが、その理由や根拠は「?」のままでした。とってもモヤモヤした中で子育てをした経験があるので、このブログでは、なるべくわかりやすく、根拠やエビデンスも共にご紹介していければなと思います。

「ことば」を育てる簡単な方法

子どものことばを言い直して聞かせる

インスタグラム@hagukumi.labより

子どもは誤った音を発音することがあります。たとえば「魚」が「しゃかな」となってしまい、「お魚さん」を「おしゃかなしゃん」と発音することもあります。言語獲得の途中ではよくあることで、子どもらしく可愛いらしい間違えですね。この間違え、可愛いからといって大人も同じ様に間違えた発音を敢えて真似していませんか?実は、子どものことばを育てるためには大人が正しい発音 に言い直して聞かせてあげると効果的なのです。

大人が子どもの間違えたことばをそのまま真似て使っていると、子どもはコミュニケーションが成立したと誤解し、正しい発音でことばを操っていると勘違いしてしまいます。言語発達において勘違いが少ない方がことばの発達がスムーズなのは明らかです。では、子どもが発音を間違えた場合はどう対処すればよいのでしょうか。次の段落で具体的な対応について説明しますね。

「おしょと」=「お外」だろうと推察できる場合、まずは「おしょと」という誤った発音を正しい発音で聞かせてあげる必要があります。手順は簡単です。子どもと同じ目線で、同じ方向を見て「お外だね」とそのまま、正しい音を聞かせてあげるだけです。このように子どもの発した誤った発音を正しいことばで聞かせることが子どもの聴く力(聴覚)を育てる事にもなります。子どもは大人が言い直してくれた正しいことばを聞いて、自分の発音と正しい発音の違いに気づきはじめます。

正しい発音を聞かせるにはいくつかポイントがあります。最初に着目すべきは「子どもの意図の推察」です。「おしょと」が何を指すのかは、子どもがいる環境や前後で発生した事柄、その子の特性を考慮して想像すると見えてきます。多くの場合、ことばを発した前後の場面や生活パターンから、子どもの意図は推測できます。この「意図の推察」は子どものことばを育てる上でキーになるので、いつかまた「こどもの意図」について記事にまとめますね。今回の例では、子どもの意図は「お家遊びも楽しいけど、お外でも遊びたいな」なのかもしれません。見ていた窓の外が雪景色だったら「お家は暖かいね、お外は寒そうだね」なのかもしれません。子どもの行動や状況を分析し子どもの意図をクイズ感覚で想像すると、すこし楽しくなりますよ。正解は何かな?とワクワクした気持ちで子どもの意図を探ってみましょう。

子どものことばを言い直してことばを育むこの方法には、注意すべきポイントもあります。間違えを指摘したり、否定をしてはいけません。具体的には「おしょとじゃないよ、お外だよ!」などと、わざわざ否定したり、教えたりする必要はありません。人は間違えや失敗から多くを学び、成長していく生き物です。失敗は成功の基。失敗や間違えを指摘して正しい発音を聞かせていくと、自分の発音が否定されていると感じ、ことばを発することへの不安な気持ちが育ってしまいます。そばにいる大人が温かく見守ってあげると、子どもは安心して間違えられます。たくさん失敗して大きな成長へ繋いでいけるように、その子の力を信じて少しだけ導いてあげることができるといいですね。

子どものことばを広げて返す

インスタグラム@hagukumi.labより

子どものことばを広げて返すって一体何だろう?そんな風に思いますよね。わたしも初めて言語聴覚士テキストでこの手法を目にした際は同じ様に疑問を抱きました。そこで、先ほどの例を使って、次の段落から具体的に説明していきます。

例えば、お部屋でおもちゃ遊びをしている時に、子どもが窓の外を見て「おしょと」と声を発したとします。子どもの意図は「お家遊びも楽しいけど、お外でも遊びたいな」だろうと推察できたら、まずは正しい発音「おそとだね。」と同じ方向を見て正しい発音を聞かせます。その後で、ことばを広げてみます。具体的には「見る」という動詞を追加して「お外が見みえるね。」とことばを広げていきます。さらに他の動詞「遊ぶ」を追加して「お外で遊びたいね。」と、ことばを広げて聞かせるのもよいでしょう。さらにステップアップさせて、文章そのものを追加し「ことば」を大きく広げることも、ひとつの方法です。「お家遊びは楽しいね。お外遊びも楽しいよね。」など、子どもの発した言葉「おしょと」を使いことばを広げて返すことで、様々なことばの活用方法を耳から学習していきます。

ことばを広げて返す際も、先ほどと同様に「子どもの意図の推察」が重要なポイントになります。たとえば先ほどの例で、窓の外が雪景色でとても寒そうな場合、子どもの意図は全く異なるかもしれません。大切なのは子どもの意図を推察してことばを広げて返すことです。寒いのが苦手な子が、窓の外の冬景色に気付いて「おしょと」と発したのならば、「おそとだね。」とまずは正しい発音を聞かせ「お家は暖かいね。お外は寒そうだね。」や「お外は雪が降ってるね。お外は寒そうだね。お家は暖かくていいね。」など、その子が何を感じているかを想像しながら、ことばを広げていくとよいでしょう。クイズにチャレンジするような冒険心で、子どもの意図を推察してことばを広げて返していくと楽しいですよ。

まとめ

ことばを育てるかかわり方

・子どものことばを言い直して聞かせる

・子どものことばを広げて返す

「言葉を育てたい、言葉が遅い、お家でできる事が知りたい!」そんな時はこの2つを試してほしいです。

この記事はインリアル・アプローチ、言語心理学的療法のなかから一例のご紹介でした。インリアル・アプローチについてはシリーズで記事にしており、この記事はvol.3です。まず最初に、vol.1から試してみてくださいね。

大人の働きかけで子どもの持っている力を最大限に引き出すことが出来るといいですよね。本人の持っている力が最大限に延びればよいなと思って、ノウハウを記事にまとめています。これからも、子育てがおもしろくなる確かな情報を少しずつ発信していきたいと思います。

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